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会社がトクする社労士 講座「会社が得し、社員が納得する就業規則の作り方」 第8回
会社がトクする社労士 講座「会社が得し、社員が納得する就業規則の作り方」 第8回
第33青経塾 川端康浩(社労士)
モデル就業規則を使っていては「企業規模」に合っていないので、いざという時に役にたたない。
というお話をして来ました。
前回までその5つ原因の2つまでご紹介しましたが、今回は残りの3つを検証します。
3.法律を有効活用していない
法律というのは最低の基準を定めたものです。法律の最低基準をクリアし、法律の範囲内で定めをしておけば、労働法の有効活用ができますので、会社は不必要なお金を払う必要が無くなります。
逆に、知らないで「モデル就業規則」をそのまま使用していますと、法律の最高範囲で運営することになりますので損をする場合も出てきます。
例1)会社が損する 法定労働時間の勘違い
社長 「うちの会社では、きちんと8時間以上の残業代を割り増しですべて払っているよ」
労働基準法では1日の労働時間を8時間。 週の労働時間を40時間と 定めています。
これを法定労働時間といいます。
この時間を超えると、基本的に残業となり、割り増し賃金が発生します。
しかし、例外があって、常時10人未満の飲食店は週44時間が法定労働時間となりますので、
週休2日制の場合、週に1日8時間で帰る日があれば、残りの日は9時間まで残業をつける必要はなかったのです。
しかし、ここの社長さんは「モデル就業規則」にはそんな事はどこにも書いてなかったので、きちんと
5年間も毎週1人あたり4時間も余分に残業代を払っていました。

例2)会社がさらに損する 休日労働の勘違い
社長 「うちの会社は週休2日制だけど、休日出勤に対しては1.35倍の日当を出しているよ」
労働基準法には法定休日というのがあって、原則は週1回です。
この法定休日に休日勤務させた場合は1.35倍の割り増し賃金が必要です。
週休2日制の会社で、日曜日を法定休日とすると、土曜日は法定外休日となります。
この場合、土曜日を休日勤務させても法定外休日ですので1.35倍の割り増し賃金は必要ありません。休日勤務に対する日当の支払いはもちろん必要ですが、そのまま1日分でよいのです。
※ただし週40時間以内での場合です。週40時間を超える場合の法定外休日は1.25倍必要です。
ですので祝日をはさむ週での土曜休日出勤などは1日分で済む事が多いです。
それなのに、「モデル就業規則」にはそんな事はどこにも書いてなかったので、社員10名の会社の社長は、きちんと8年間も土曜日の休日勤務に対して、だいたい1人毎月1回ほど1.35倍の割り増し賃金を払っていました。これいったいいくらの金額になってしまうのでしょうか。
4.お客様活動に焦点が合っていない
あのピータードラッガーはこう言っています。「経営とは、お客様作り」
会社に売上という名前の「お金」を運んでくれる人お客さん以外にはいませんので、
会社はお客さんから頂く「お金」で成り立っていることに間違いありません。
従いまして、お客からお金を頂く活動は企業の経営活動の基本であり、土台であります。
会社の就業ルールブックである「就業規則」の中には「服務規程」という項目があります。
「服務規程」とは、働く人の心構えやモラルなどを定めたところです。
お客様から「売上」という名前のお金を頂く活動が、企業の経営活動の基本であるなら、
・お客様への接し方
・お客様挨拶や言葉の使い方
・お客様への心構え
など、お客さんに焦点を合わせた「ルール作り」をする必要があります。

5.経営理念や経営方針を反映していない
経営理念の実現の為に会社が存在しているのなら、働く人の就業ルールを定めた「就業規則」にも
第1章の目的にまっさきに「経営理念」が反映されるべきです。
しかし、役所には経営理念などありませんから、役所の作る「モデル就業規則」には、一番大事な「目的」の部分が抜けています。
何の為に規則を守る必要があるのか規則の意義を示す部分が抜けていては、土台が無い家のようなものでは無いでしょうか。
経営者は「経営理念」を通じて、社員に思いを伝える必要があります。
アメリカの心理学者マズローは、人間は集団帰属の心理欲求があり、自分が属する集団が何を目指す集団であるのか、参加者にわかりやすく伝える事で、参加者のモチベーションが上がると仮説しました。
集団で目指すものを明確に参加者に示す、それが会社なら経営理念になるわけです。
会社も人の集団であるなら、会社の存在意義を伝え、その達成の為に働く人の就業ルールとして、就業規則が存在しているという筋道を、まず、わかってもらう事が従業員の理解を深める秘訣です。

どうでしょうか? いかに「モデル就業規則」が穴だらけかわかっていただけたでしょうか?
労働基準監督署にある「モデル就業規則」のモデルは、あくまでも労働法的に モデル ということで、それ以上のものでは無いということです。
ですので、どうせ作るのなら会社の実情にピッタリと合った、オリジナルの就業規則を(後々の運営面も配慮しながら)作るべきです。
ちなみに就業規則は作ってからちゃんと従業員に周知しないと法的効力が出ません。
社長の机や金庫の中にしまって誰も見た事が無いのなら、見たことが無い規則では効力があるはずがないのです。
朝礼などで周知して、いつでも誰でも見れるようなファイル化やデータ化をしておきましょう。
それがいざトラブルの時にルールとして会社を(社員も)守ります。

コラム 戦後体制と「労働基準法」
さて、就業規則の元となる「労働基準法」は、戦後憲法と同じように、戦後アメリカの占領軍(GHQ)が主体で作成した法律です(昭和22年施行)。ですので「和(やわらぎ)を以(もち)て貴(たっと)しとし」と聖徳太子が表現した「和」を重んじる日本の風土には合わない所があります。
「労働基準法」は弱者保護の法律であり、その主旨じたいは良いと思いますが、随所に、実際の企業の営利活動とはそぐわない面があると考えるのです。
最近の個人情報保護法といい、この労働基準法といい、京都議定書問題といい、鯨保護問題といい、派遣法改正などの規制緩和といい、私はその根っ子は一緒だと考えます。
つまり日本は敗戦国になって以来、欧米、特に日本国内に米軍基地をおいて占領しているアメリカから、日本の主体性を考慮しない法律や条約を押し付けられ、国力を殺がれているのです。
※国連(United Nations)なんてその実態は第二次世界大戦の連合軍体制のままで、現実に今も日本はアメリカに占領されているような状態である事は、青経塾生の皆様は先生の講義などで教えて頂きました。
片方では、労働者保護の労働基準法を守り週40時間以上は働くな、京都議定書を守り二酸化炭素の排出量を守り産業を押されろ、しかしもう片方ではイラク支援や世界の人道支援で金を○○兆円払え、要は金をくれと、もう、滅茶苦茶な要求を欧米はしています。
確かに軍の無い日本はその分軍事費負担は少ないかもしれませんが、毎年○○兆円単位で外国にお金を吸い取られているのが現実です。
身近な例とすると、製造業の場合、税金という名前の国へ、ひいてはアメリカへの上納金を納める為の元請け企業(たとえば豊田のT社)のシワ寄せが、無理な納期や生産量という形で下請けに必ず来ます。
下請けはその為に利益の薄い仕事を請けざるを得ない場合、その残業代を払うのも下請け自身です。
そこで労働基準法違反になるからって、元々悪いのは構造じたいが悪いのでしょ。と強く思うのです。
法律の生い立ちから考えていくと、労働基準法って必要だけどそもそも誕生からそのような制度上の「矛盾」をはらんでいる法律ですのでわりきれない部分が必ずあります。
であるからこそ、ささやかな抵抗として、できる限り法律を有効活用をしたほうがいいと私は強く強く訴えます。

第33青経塾 川端康浩












