専門家講座

専門家の連載コラム

短期講座

機械のもつ魂 人が生きる魂

私61歳、機械に関わり始めて45年。高校・大学は、機械科・機械工学と二部で学び、ある意味では、機械バカと言われても仕方ない。
この年になると、どっぷり浸かったせいか機械と人間の動き方、そして、心情までが同じように感じてしまう。工場内で日常的に使われているFA機械は、開発要素が高く簡単に生まれるものではない。生む為の苦労も育てる為の苦労も、人に類似している様に感じるのが不思議だ。もちろん子供が育って行く時の喜びは親にとってこんなに嬉しい事は無い、私も5人の子を育てました。体力と知力とお金はかかる。苦労した機械・子供共に一番強く印象付けられる。こんな所まで同様に感じる。
戦後、紡績の機械はメカで動く人の手と言われ、バタマンとまで親しまれ人々の生活を裕福にし、時代を作って来た。それと同じくして、中卒は金の卵としてもてはやされ、機械と共に日本の文化を作ってきました。
私が昭和38年機械に触れた時は、まだ旋盤は社屋の天井にモーターがあり、この一台のモーターで4〜5台の機械を動かしていました。こんな機械をスタートに10数年の間でNC制御に移って行ったのです。
図面も当時は、CADではなく、ドラフター。T定規を操り、直線と直線、Rはコンパスと定規で結び、図面を作り、組図にしていったものです。
人間も当時はメカニック的なものが大半であった。お話は顔を見て話し、伝達は身振り手振り。そして、楽しい時、悲しい時は肩をたたき合い励まし合ったものです。ふと周りを見ると、メール・携帯、時にはパソコンの中で遊び、メル友なんていう言葉まで生まれた。
機械もそれと同じくして変わって行ったのです。電気とメカの割合が金額ベースで半々位になり、電子制御でメカの割合はグット減少した。不思議な事は作る工程(歴史)は変わってないのです。この変わってない所が魂なんでしょう。機械は時代の中で夢の歴史を作って来ました。其処にもつ魂は生きながらいているように感じる
鉄腕アトムがマンガとして出た時、空を飛び、お話をし、指示で動く事が現実になる事を、私は想像出来ませんでした。これが良かったか悪かったかは別として、多関節ロボットは正に鉄腕アトムです。
私は機械が大好きだ。ただ、今作る機械はあまり好きではない。魂の入った機械を作り続けたい。又、社員にもその魂を教えたい。基礎を忘れることなく人が喜び、人に夢を与え、其処に心を感じ、人と機械が美味くマッチングしそして、それが継承された時、機械は捨てられるのではなく、別の形で進化し続けるのだと思う。
今私は、身体、知的、精神にハンディを持つ人と関わる事が多い。動ける所を真剣に動かし、働く機能を磨いていく、其の力に感動さえ感じます。其処に器具の力を借り何倍もの力で活躍する姿、正に人が生きる魂です。
心が無い機械と思うでしょうが機械にもあるのです。1本のピンが動かなくなったとき片方のピンが耐えていたことも多々ありました。良く頑張ってくれたと微笑んだ事もありました。
これからの人生の中で、機械とコラボレーションし夢を求め、機械バカと言われながらとことん歩んでいきます。
3回のシリーズにお付き合いくださり本当に有難う

第6青経塾 江尻富吉 

信濃工業株式会社  http://www.sinano-co.jp/

第6青経塾 江尻富吉