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ランチェスター経営戦略(7)「戦わずして勝つ為に」
1. 商品戦略に見る、戦略は効果性、戦術は効率性
ランチェスター経営戦略の竹田陽一は、戦略を効果性、戦術を効率性と考え、戦略と戦術のウエイトバランスを7:3としています。
戦略に戦術は準じ、経営者の戦略実力を高める事で効果性を上げて、業績を高める事を推奨しています。
戦術の効率性とは、戦術とは目に見える繰り返しの作業になりますので、たとえば、工場の製造ラインにおいて、設備投資を行い、機械を改善して、1時間当たりの生産性を高めること等を指します。
パソコンへの打ち込み作業などにおいて、より性能の良いパソコンやソフトを導入し、作業効率を上げるのも戦術における効率性になります。
時は金なりで、こうした効率性の向上もとても大事な事ですが、この戦術面を突きつめても、時間がゼロになる訳でもなく、もっと資本のある上位の大手企業が、金にモノを言わせて、自社を遥かに凌駕する設備投資による、効率性を図って来たら、中小企業は立ち打ちできません。
戦略は違います。戦略は「効果性」を表すのですが、「自社より強い敵とは違ったやり方を行う」という、
(弱者の)戦略原則に従って実践する場合、1時間当たりの製造ラインの効率性とかという問題では無く、そもそも製造している「商品」そのものから差別化を図ったりします。
たとえば、清涼飲料水市場は、コカコーラ等大手がひしめく強者の商品土壌ですが、商品用途や販売方法での差別化を行い、大学や高校の受験生に絞り込み、学区単位で一般家庭に焦点を合わせた、受験生専用の栄養ドリンクを開発し、予備校や家庭で直接販売するなど、した場合、商品そのものが違う用途で販売する訳ですから、生産高云々とは違う次元の話になると思います。養命酒などはその典型だと思います。
(※キリンやサントリーよりも従業員1人当たりの経常利益は養命酒の方が多い、年度があります)
戦略知識を向上させる事で、競合とは全く違う観点での経営を行う事ができると思います。中小企業は正直、勉強しないKDK社長が多いようですので取り組んだ者勝ちだと思います。是非、経営者、経営幹部の方は戦略実力を向上して頂き、はずれの無い、経営をして頂きたいと願います。
2・ノンアルコールビール市場における差別化戦略
ビール市場における、ビール、発泡酒、第三のビールの競争に続くノンアルコールビール市場のシェアは、キリンの「キリンフリー」が発売以来シェア一位を維持しています。
このキリンフリーは、世界初のアルコール分0.00%のビールテイスト飲料として売り出され、2009年4月の発売から2カ月で当初の年間販売目標63万ケースを突破。発売半年で350万ケースを販売する大ヒット商品となりました。
このヒットの理由には「商品の真の用途の差別化」があったようで、従来からあった、ノンアルコールビールには、0.1%や0.5%のアルコール分が含まれていた為、費者心理で「本当に飲んで大丈夫なのか」という心配がつきまとい、市場がなかなか広がらなかったそうです。
その点フリーはアルコール分ゼロですから、心配無く飲む事ができます。
事前に市場調査をしたキリンは、道路交通法の改正による厳罰化も踏まえ、「完全ノンアルコール」市場のニーズに確信を持ち、アルコール分0.00%という完全ノンアルコールを強調し、キーワードやデザインで従来の商品を「差別化」を図りました。
そしてこのフリーの商品の真の用途にである「(飲んでも)安心」「飲酒運転撲滅「社会貢献」という所は、ドライバーだけで無く、病気でアルコールが飲めない人や妊娠・授乳中の女性など、他の層の支持を受け、結果的に新しい市場を開拓することに繋がりました。
今このキリンフリーのシェア1位の座を脅かしているのが、サントリーのノンアルコールビール「オールフリー」。オールフリーは上位シェア企業と差別化を図るという、差別化の教科書通り、キリンの
① アルコール分0.00%に加え、
② カロリーゼロ
③ 糖質ゼロ
の3つの要素を打ち出し、缶のデザインも白を基調にしたスッキリしたスマートなデザインとし、主に女性層に強い支持を受けて、発売以来品切れ店が続出になるほど、順調にシェアを伸ばしています。
同じ、後発であるアサヒの「アサヒダブルゼロ」が、フリーと差別化を図る為に、
① アルコール分0.00%に加え、
② カロリーゼロ 迄、二つの差別化を打ち出している所を、
③糖質ゼロを加えて3つのポイントをアピールし、
「後発差別化」の強みを活かしました。
同質化を避ける為の差別化の仕方には色々な方法があるのですが、
※ 同質化すると上位企業の圧力、販売力をまともに受けてしまいますので、後発の場合、業界トップや自社のスグ上と商品・サービスや販売方法で、差別化を図るのがセオリーになります。
ビール業界の場合、ハレの日ビール、ギフトビール市場において、長い間シェア一位でありました、エビスビールを、サントリーがプレミアムでシェアを逆転しました。逆転されたエビスは、シルクやザッホップ、最近は「客船飛鳥限定」など、エビスのバリエーションを増やして対抗しています。
これもプレミアムに対する差別化での対抗戦略なのでしょう。
このケースは、大企業同士の強者の戦いの土俵でありますが、戦略を見える化した「戦術」面において、激しい戦いをしているビール業界は差別化の参考になると思って注目しています。
3・ 旧日本陸海軍将校「正装軍服」に見る弱者の一位市場
東京の地下鉄神保町駅の近くに、知る人ぞ知る、旧日本陸海軍の軍装品の専門店があり、軍服や軍刀、勲章、腕章、軍艦旗、銃器(無可動)などの旧日本陸軍の軍装品を取り扱っています。
オーナーは、邦画戦争映画の衣装監修を行う程の方で、旧日本軍の軍服・軍装品の第一人者であるそうです。
一部のコレクター、マニアの間では有名な店で、大日本帝国陸海軍の将官が着用する「正装軍服」や軍刀、勲章、装飾品類のラインナップの充実ぶりは、抜きんでて群を抜いており、保存度も高く、一種の美術品の様相もしていることから、中心客層は軍服コスプレ層ではなく、軍装を美術品として捉えるコレクターが中心であるようです。
この中心客層は見る目も肥えており、保存状態の良い軍服は100万以上の価格帯であるにも関わらず、価値を認める収集家での購入があるようです。
この店では、軍服そのものの瀟洒・状態もさることながら、軍服を所持していた人の、軍歴、所属、階級などを調べ上げた上で、価値に見合う価格をつけています。
というのは、当時の将校の軍服というものは、軍の支給品ではなく旧日本軍では准士官以上の階級の軍服は私物として扱われ、全て、自前で揃えなくてならないものであったそうで、当時において、銀座の三越あたりで将校が「正装軍服」をあつらえると、
※ 昭和10年の軍装品の広告で将官の正装が225円から270円。これは、当時の家一軒の値段とほぼ一諸であったそうです。
つまり、当時でも流行最先端の極美の「正装軍服」は、
※ 軍服にも流行りや個人の趣味があった。都会におけるお金持ちの将官しか仕立てることができず、
所在のはっきりしている軍服ほど価値に見合い、そういう極美の保存の良い軍服は、当時からお金持ちが住む、都会にしか保存されていない事になります。
※ 田舎仕立ての軍服はデザインが宜しくないそうです。
ところが、東京も名古屋も大阪も米軍の空襲によって軍人宅共々殆ど燃えてしまいましたので、「昨今出て来る極美の「正装軍服」は、空襲の殆ど無かった京都や神戸など阪神地方の高台などから出て来る事が多い」とオーナーは言います。この地域は比較的空襲の被害が少なかったのが理由のようす。
つまり、旧日本軍将校の極美の「正装軍服」の分野で一位になるには、旧家、名家の屋敷が多い、京都や神戸など阪神地方の高台からの仕入れルートを押さえる事ができれば(シェア独占)これはピンポイントで一位の市場を押さえたことと同じ事になります。二番手以下は、他の仕入れルートに行かざると得ません。
弱者は狭い市場の方が早く「一位」になれると言いますが、この旧日本陸海軍将校の「正装軍服」市場は、そのニッチさで解りやすいシェア一位作りの例だと捉えております。
アサヒマネジメント かわばた社会保険労務士事務所
代表 社会保険労務士 川端康浩(第33青経塾)












